センバツ高校野球が開幕します。
2018年春の選抜高校野球から延長戦になった場合にタイブレークのルールが採用されるようになりました。
今回は、このルールとメリット・デメリットについてご紹介いたします。
センバツ高校野球のタイブレークのルールとは?
テニスでタイブレークの意味は分かるけど、野球については詳しくわからないという方いらっしゃるのではないでしょうか。
野球におけるこのタイブレークのルールはどうなっているのでしょうか?
簡単にまとめてみました。
タイブレークの条件
- 延長12回終了時に同点であること
タイブレークのルール
- 延長13回からタイブレークを実施
- 無死一、二塁の状態でスタート
- 打順は12回までを引き継ぐ(継続打順制)
- 決着がつくまで続く
- 1人の投手の登板回数は15イニング以内を限度
- 決勝では適用されない
- 決勝再試合では適用
- タイブレークで出塁した2走者は投手の自責点としない
- タイブレーク戦ではノーヒットノーランの記録は認められる
- タイブレーク戦では、完全試合は認められない
13回以降のタイブレークに突入した場合には、人為的に走者を置いた状態から試合が開始されます。
それにより点が入りやすくなり、長いイニング延長戦が続くことが解消されます。
タイブレークの導入により、2イニング以内に試合が終了すると言われています。(日本高野連データより)
選抜高校野球のタイブレークのメリットとは?
タイブレークによるメリットをご紹介します。
タイブレークのメリット
タイブレークのルール導入することによって以下のメリットがあります。
- 試合の進行を早めることができる
- 選手の負担(特に投手の疲労や故障)を軽減できる
- 延長再試合がなくなり試合日程が予定通り進行
- 緊迫感があって面白い
- 監督の手腕が試される
どの競技においても、タイブレークは試合の早期決着のために導入されており、選手の負担減などに最もメリットがあると考えられます。
サッカーにおいても、PK戦は早期決着という意味では、このタイブレークと同じとらえ方ができると思います。
元日本代表監督のイビチャ・オシム監督は、試合で決着せずにPK戦になった時にはベンチを外れ、控室に戻ります。
その理由は、
「PK戦は心臓に悪いから」
野球のタイブレークも相当緊迫感があります。
選手にとっては酷かもしれません。
もしかしたら見ている人もヒヤヒヤさせられるかもしれませんが、その緊張感がたまらない面白さでもあります。
選抜高校野球のタイブレークのデメリットとは?延長戦が生んだ記憶に残る名勝負!
タイブレークのルールの導入はメリットだけではありません。
タイブレークのデメリット
- 決着の方法に高校野球本来の面白さを損ねてしまう
- 敗戦チーム・投手へのダメージが大きい(これまで積み上げ・投げ抜いてきたことに対し、投手の責任ではない人為的なランナーで試合が決着するため)
- 選手に悔いが残る
- 真剣勝負に水を差してしまう恐れ
- (実力ではなく)運に左右されやすい
- 延長によるナイター戦を見る楽しみがなくなる
- 激闘と呼ばれる記憶に残る名勝負がなくなる
高校野球本来の面白さとは?
高校野球が面白いのは、負けたら終わりというところです。
だからこそ、そこにドラマが生まれ、見てた人、応援していた人に感動を与えることができます。
その負けたら終わりという大事な局面で、人為的に作られた(無死1.2塁からスタート)シナリオは必要ないようにも思われます。
真剣勝負に水を差す
高校野球が面白いのは、全力投球、全力疾走など選手の一生懸命な姿に、感動し、応援したくなるところです。
タイブレークのルールは、そんな一生懸命な選手達の真剣勝負に、水を差してしまうのではないかと心配になります。
最後まで正々堂々と実力のぶつかり合いをして欲しいという思いもあります。
敗戦チーム・投手への負担と実力以外の力が働く?
無死一、二塁からのスタートは、投手にとっても野手にとっても、緊張感のある戦いになります。
1球の失投、一つのミスが試合の勝敗を左右してしまいます。
そういった意味では、運に左右される試合も出てくると思われます。
敗戦チーム・投手にとっては、悔いの残る試合になるのではないでしょうか。
延長戦が生んだ記憶に残る名勝負!
延長戦を戦い抜き、その劇的な幕切れの試合。
延長戦があったから生まれた、記憶に残る名勝負!
見てた人の心を動かし、いつまでも記憶に残り語り継がれる伝説の試合。
そんな試合をご紹介します。
赤石中VS中京商(昭和8年夏準決勝)
私自身も生まれてませんが、この試合は史上最長の延長25回までもつれた伝説の試合です。
再試合ではなく、1回から25回まで連続の延長戦。
通常の試合の約3倍。
今でも語り継がれる熱闘です。
松山商VS三沢(昭和44年夏決勝)
昭和の名勝負と呼ばれ、史上初の決勝戦での延長18回引き分け再試合となった試合です。
三沢高校の太田幸司投手は再試合でも一人で投げ抜きましたが、力尽き悲劇のヒーローになりました。
2日にわたりましたが、全27イニング一人で投げ抜くとは、今では考えられません。
太田投手はドラフト1位で近鉄バッファローズ(現オリックス)に入団。
プロになってからもこの伝説の試合は、太田投手の代名詞となりました。
駒大苫小牧VS早稲田実(平成18年夏決勝)
松山商VS三沢高の対決以来となった37年ぶりの決勝戦・引き分け再試合。
決勝戦で引き分け再試合となれば、いやがおうにも盛り上がります。
更にこの決勝戦は、当時の甲子園のアイドルだった「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹投手とメジャーリーグで大活躍の「まーくん」こと田中将大投手の投げ合いときたもんですから多くの方々の記憶に今も残る 名勝負となりました。
このタイブレークのルールはそうした伝説の試合が今後見れなくなるという悲しい面もあります。
ただ、まだ若い選手たちのその後の人生を考えれば、致し方ないことと言えます。
まとめ
この時代はスピードの時代ともいわれます。
日本のお母さんが子供に言う言葉で一番多いのが
「早くしなさい!」
うちの子も、妻によく言われています。
このタイブレーク導入も、選手を守るためという一方で、目まぐるしい変化を遂げる現代社会を映し出しているのかもしれません。