ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」が国際陸連より使用禁止になるという情報があると、英の複数メディアが報道しました。
2020年の箱根駅伝でもナイキのピンクのシューズ(実際はピンク以外もありますが)を履く選手が多数いました。
マラソンランナーにとって、今や体の一部ともなっている「ヴェイパーフライ」
使用禁止の理由や、選手に与える影響について考察していきます。
ナイキ「ヴェイパーフライ」構造と特徴
ナイキ「ヴェイパーフライ」の別名は厚底シューズ。
厚底の理由は、その中身にあります。
そこにはナイキの秘密兵器
カーボンプレート
が隠されています。
反発力の高いカーボンプファイバー製レート。
それを航空宇宙産業で使う特殊素材で挟み込んでいます。
それにより、軽さ、頑丈さ、そして高いクッション性を実現しています。
ドラマの「陸王」で例えるなら、開発を重ねたソール素材の”シルクレイ”がナイキの航空宇宙産業で使う特殊素材と言えます。
そこに更なるクッション性=速さを求めた
カーボンプレートがプラスされたシューズなわけです。
「ヴェイパーフライ」履くランナーの声
ヴェイパーフライの特徴はどんな感じなのでしょうか?
実際にヴェイパーフライを履いて走るランナーの声は
最初は宙に浮いているような感じがするんですが
走りやすいというか
ちょっと早く走れるようになった
疲れがなくすいすい行く感じです
まるで下り坂を走っている感覚
疲れなく、早く走れるという感想が多いようです。
ナイキの「ヴェイパーフライ」の特徴である、楽な重心移動、高いクッション性により、地面と接する時間が少なくなり、それにより宙に浮いた感じが実感でき、更には足への負担か減るということではないでしょうか。
名馬ディープインパクトに騎乗した武豊騎手は、ディープに乗っていると時の感想を
「 走っているというより飛んでいる 」
とコメントされたことを思い出しました。
ナイキのヴェイパーフライもまさにそんな感覚を実感できるシューズなのではないでしょうか。
最強馬ディープインパクトと走っている感覚が一緒のナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」
速いわけです。
ナイキのヴェイパーフライの実績とは?好記録続出!市民ランナーからトップランナーまで絶大な人気!
2020年の箱根駅伝でも多くの選手が履いていたピンクのシューズ。
そして好記録が続出しました。
いま日本の陸上界を席巻しているナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」の実績とは?
市民ランナーにも絶大な人気
日本そしてアメリカでも、ランニング用のシューズとして最も売れているナイキのヴェイパーフライ。
日本のある店舗では、ヴェイパーフライの問い合わせで一日中電話が鳴りやまないこともあるようです。
最新モデルで3万250円(税込み)
1日で40~50足くらい販売したこともあるという大人気の商品。
1足で約150万の売上げとなります。
ナイキのシューズは、以前にエアマックスシリーズが大人気となりましたが、それに引け劣らないブームとなっております。
MGCの上位入賞選手はナイキ「ヴェイパーフライ」を使用
2019年に開催されたマラソンオリンピック選手の選考レースMGCで男子選手の上位10人のうち、ナイキのヴェイパーフライを使用していた選手は8人もいます。
16年ぶりの世界記録もナイキ「ヴェイパーフライ」
2019年10月に開催されたシカゴ・マラソンで、ケニアのブリジット・コスゲイ選手が16年ぶりの世界記録を更新しました。
2時間14分04秒
この時履いていたシューズもナイキ「ヴェイパーフライ」!
人類初の”2時間切り”もナイキ「ヴェイパーフライ」
非公認ではありますが、2019年10月にケニアのエリウド・キプチョゲ選手が
1時59分40秒
という2時間を切るタイムを記録しました。
この時履いていたシューズもナイキのピンクのシューズ「ヴェイパーフライ」
世界のトップランナーたちが使用するヴェイパーフライシリーズ。
現在の日本記録保持者の大迫傑選手(2時間5分50秒)をはじめ、東京五輪内定の中村匠吾選手、服部勇馬選手、鈴木亜由子選手も「ヴェイパーフライ」を使用しています。
逆に、世界のトップランナーのその殆が使用しているからこそ、問題となっているようです。
ナイキ「ヴェイパーフライ」は使用禁止になるの?世界陸連の規制に抵触するの?
イギリスのメディアが、次のような報道をされています。
世界陸連はヴェイパーフライを調査するために専門家を集めた
まもなく競技での使用を禁止する新たな規制を導入するとみられる
イギリス紙「The Telegraph」より
ヴェイパーフライが使用禁止の可能性
イギリス紙「The Sun」より
世界陸連の規制とは?
ナイキの「ヴェイパーフライ」が使用禁止になるということは、世界陸連の規制に抵触することが考えられます。
では、世界陸連の規制の内容とはどのような内容なのでしょうか?
●誰にでも比較的入手可能
●不公平な補助・アドバンテージのない物
とあります。
これに抵触するか否かが、使用禁止になるかどうかの焦点にると英メディアは語っています。
「ヴェイパーフライ」使用禁止の理由を考察
世界陸連の規制で、前者の誰にでも入手可能については、大人気により在庫不足などのもありますが、価格面などからしても、これには抵触しないと思われます。
では、後者の”不公平な補助・アドバンテージの無い物”について考えると、先ほども述べたように、世界のトップランナーのそのほとんどが「ヴェーパーフライ」を使用しています。
さらに記録を更新している現実があります。
これが、不公平な補助・アドバンテージにならないか、どうかだと思われます。
もし、ナイキの「ヴェイパーフライ」を履いていなかったら記録はどうだったのでしょうか?
競技者全員が「ヴェイパーフライ」を履いて競技すれば問題はないのかもしれませんが、一人でもそうでない人がいれば、公平性が保たれないということになるのではないでしょうか。
開発競争の妨げの可能性
どのスポーツにおいても各メーカーが、選手の力を最大限(またはそれ以上に)に発揮できるように
しのぎを削って商品開発を進めています。
「ヴェイパーフライ」もまさにナイキが商品開発を進めて完成した画期的な商品です。
私もテニスをやっていますが、ラケットの開発技術も素晴らしく、昔とは雲泥の差です。
もちろん選手自身の努力が前提ではありますが、そうしたメーカーの努力があり、選手のパフォーマンスが最大限に発揮でき、記録更新や観客を魅了するプレーが生まれることは紛れもない事実です。
今回、ナイキ「ヴェイパーフライ」が使用禁止になった場合にメーカーの開発競争に支障があるのではと少々心配にもなります。
そしてメーカーだけでなく、選手への影響も心配です。
「ヴェイパーフライ」使用禁止の場合の選手への影響は?
世界陸連は、現在、専門家を交えて「ヴェイパーフライ」の検証を行っており、今月末に結果報告がされるとのことです。
「ヴェイパーフライ」が使用禁止になった場合の選手への影響について
細かすぎる解説で有名な増田明美さんは
自分の体の一部のように履きこなしている選手にとっては
がっかりするところもあると思う
少なくとも半年くらいは
靴との相性を見る選手がほとんど
規制かかるにしてもいつからかというその時期を
はっきりさせてあがたほうがいい
とコメントされています。
東京五輪内定の中村匠吾選手は
どのような結果になっても
自分の力を発揮するだけと考えている
と、冷静沈着な中村選手らしいコメントは、頼もしい限りです。
東京五輪まで約半年となりますが、会場が東京から札幌に変更、更にはシューズの使用制限となれば出場選手への影響も心配となります。
注目の集まるマラソン競技。
この状況を逆にプラスにとらえ、数々の苦難を乗り越え、その先の勝利を掴んでもらいたいと思います。
シューズの力ではなく自らの力で・・・