こんにちは、そろばん先生のぱちぽちです。
2限目に入ります。 1限目で生徒にそろばんを自分のお財布にみたてて計算させていきました。このイメージが、2限目の授業で非常に役立つことになります。
私のそろばん教室に通ってくる生徒にはこのやり方では教えていません。なぜなら、教室の生徒さんは、時間を気にせずじっくりと教えることができるからです。
しかしながら、学校での授業は、45分授業×3回のカリキュラムとなっておりこの限られた時間内で、教えていかなければなりません。
そろばん教室では、何ヵ月もかけて(生徒によりますが)やるところをこの3回に凝縮させるためそろばんの教え方の工夫が小学校の授業では必要になってきます。それがこのお財布イメージです。
そろばんの教え方の工夫で小学校の授業がスムーズに進められます
2限目の授業では、1限目の復習から入ります。
そろばんの3つの部位(1珠・5珠・定位点)のおさらいと、黒板の大きなそろばんを使って読み上げ算により繰り上がりのない1桁問題と2桁問題を生徒と一緒にやっていきましょう。
復習が終了したら、2限目のメインテーマである5の繰り上がり・繰り下がりの計算です。
この計算に入る前に準備が必要です。
まず、黒板の左側を使って”4+1→” ”4+2→” ”4+3→” ”4+4→”と書いてください。この問題をお金のイラストを使って黒板の中央で生徒と一緒に計算します。→となっているのは、この問題の答えを書くのではなく、お釣りの金額を書くためです。
4+1の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。
①生徒に、『願いましては4円なり』といい、お財布の中(そろばん)に4円を用意させます。同時に黒板に、1円玉のイラスト4枚をチョークで書いた定位点の下に並べます。この時、先生は『イエー』といいながら並べると、生徒もつられて言ってくれます。
②次に『たすこと1円』といい、生徒に『お財布の中に入れることできますか?』と尋ねます。すると生徒からは『できない』と返事か返ってきます。『では、ちょっと多めに5円もらいましょう。』といって、黒板の定位点の上に『イエー』といいながらイラストの5円を貼ります。
③黒板のイラストのお金そろばんと生徒のお財布の中(そろばん)には9円が残っています。生徒に『これでいいかな?』と尋ねると『ダメー』と返してくれます。ではどうしたらいいかなと尋ねると勘のいい生徒からはお釣りという言葉が返ってきます。
『そうですね。多くもらった分お釣りを返しましょう。ではお釣りはいくらでしょう?』と尋ねると、『4円』と返ってきます。『アー』といいながら、黒板の1円のイラストを4枚はがし、生徒のお財布(そろばん)からも、おつり4円を返す(引く)という流れです。
④つぎにこのお釣りの4という数字を、最初に黒板の左側に準備した矢印の先に”4+1→4”と書きます。以下残り3つの問題についても同じ流れです。
④黒板には ”4+1→4” となっております。”4+”の部分を消し左矢印を加えて1⇔4とします。残りの3問についても同じようにして黒板には”1⇔4” 2⇔3” 3⇔2 4⇔1が縦に残っている形になります。
生徒に黒板へ注目させます。『この組み合わせをみて気づくことないかな?』と尋ねます。
この時、生徒から様々な気づきが返ってきますが、一人ひとりの気づきをすべて正解として、先生がうまくまとめてあげましょう。
その中でも、『2つの数字をたしたら5になる』『同じ組み合わせがある』という気づきが返ってきたら、こちらの求めている答えです。
同じ組み合わせを消すことにより、”4⇔1”と”3⇔2”の組み合わせが残ります。
『この2つの組み合わせをちょっとだけ頭の中に入れておくとおつりの計算がはやくできます』と伝え、あわせて5になる数を書く練習をプリントでおこないます。
生徒同士で競わせることも、そろばんの教え方で必要なことです。
『1分間計って終わった人は大きな声で手を挙げてください』と伝え始めます。友達と競い合うことがすきな子供が多いので、このタイムトライアルは非常に盛り上がります。
ここで注意すべきは、そうでない生徒もいるということです。『1分で終わらなくてもいいよ』始める前に伝えておいてください。
そろばんの教え方を工夫して小学校の5の繰り上がり・繰り下がりが簡単に!
お釣りをイメージする練習が終われば、5の繰り上がり問題(足し算)の実践です。
実践の前に、2桁の問題をお金のイラストを使って、生徒と一緒にやります。
23+42の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。
ここで注意すべきは、黒板の筆算式の問題を使って10の位は10の位、1の位は1の位で別々計算することと、10の位(数字の先頭)から計算することを伝えます。
① 生徒に、『願いましては23円なり』といい、お財布の中(そろばん)に23円を用意させます。同時に黒板に、20円のイラスト2枚と1円のイラスト3枚を貼ります。『イエー』といいながら貼ることをお忘れなく!
②まずは10の位から、『40円お財布に入れることできますか?』と尋ねます。 『入れることができないのでちょっと多めに50円をもらいましょう』 (ここで、10の位だから50円もらうことの説明が必要です)50円のイラストを貼りつけます。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは73円です。 『これでいいかな?』と尋ねると生徒は、『ダメ』とか『お釣り返さないと』と言ってくれます。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、 黒板の10円のイラストを1枚はがし 、お財布の中(そろばん)からお釣り10円払って(引いて)お財布に63円残っている状態です。
③10の位が終わったので、次は1の位です。『2円お財布に入れることできまか?』と尋ね、『入れることができないのでちょっと多めに5円をもらいましょう。』と言って、黒板に5円のイラストを貼りつけます。
④ 『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは 68円です。『これでいいかな?』と尋ねると生徒は、『ダメ』とか『お釣り返さないと』と言ってくれます。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、黒板のイラストの1円を3枚はがして、お財布の中(そろばん)からお釣り3円払って(引いて)答えは、65円という流れです。
黒板で一緒に問題をやった後は、生徒に実践してもらいます。
1桁の足し算問題2問、2桁の足し算問題4問、それができた生徒のために、3桁のチャレンジ問題2問、さらには5桁~6桁くらいのスーパーチャレンジ問題を用意しておきましょう。問題はすべて5の繰り上がり問題です。
5の繰上がり問題(足し算)が終わると、次は5の繰り下がり問題(引き算)の練習です。
57ー32の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。
足し算の時と同じく、黒板の筆算式の問題を使って10の位は10の位、1の位は1の位で別々計算することと、10の位(数字の先頭)から計算することを伝えます。
① 生徒に、『願いましては57円なり』といい、お財布の中(そろばん)に57円を用意させます。同時に黒板に、50円のイラスト1枚と5円のイラスト1枚、2円のイラスト2枚を黒板に貼ります。
②まずは10の位から、『30円払うこと(引くこと)できますか?』と尋ねます。 『払うこと(引くこと)ができないのでちょっと多めに50円を払い(引き)ましょう』 50円のイラストをはがします。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは27円です。 『これでいいかな?』と尋ねると生徒は、『ダメ』とか『お釣りもらわないと』と言ってくれます。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、黒板に10円のイラスト2枚を貼り、お釣り20円をお財布に入れて(足して)お財布に27円残っている状態です。
③10の位が終わったので、次は1の位です。『2円お財布から引くことできますか?』と尋ね、『今回はそのまま引くことができるので引きましょう』と言って、黒板から1円のイラスト2枚をはがし、お財布(そろばん)から2円払い(引き)ます。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは 25円という流れです。
黒板で一緒に問題をやった後は、生徒に実践してもらいます。
1桁の引き算問題2問、2桁の引き問題4問、それができた生徒のために、3桁のチャレンジ問題2問、さらには、5桁~6桁くらいのスーパーチャレンジ問題を用意しておきましょう。問題はすべて5の繰り下がり問題です。
そろばんの教え方は最後の5分が大切!楽しい授業であることを印象付ける!
生徒に実践させる問題の時間を調整して最後の5分で生徒の心をわしづかみにしましょう。
『算数の時間はここまでです。ここからは音楽の時間です。』と言ってプリントを配ります。
用意するプリントは、一(いち)十(じゅう)百(ひゃく)千(せん)万(まん)億(おく)兆(ちょう)京(けい) 垓 (がい) 秭(し) 穣 (じょう) 溝 (こう)澗( かん)正( せい)載( さい)極( ごく) 恒河沙( ごうがしゃ)阿僧祇( あそうぎ )那由他 (なゆた)不可思議 (ふかしぎ)無量大数( むりょうすう)という大きな数字を表す漢字が書かれたものです。
これを、うらしま太郎の歌(むかしむかしうらしまは・・・・♪)のリズムに合わせて歌います。すると、一から無量数までちょうど終わります。
このほかにも、お雛様の歌(あかりをつけましょぼんぼりに・・・・♪)、こいのぼりの歌(屋根より高いこいのぼり・・・・♪)、ジングルベル、お正月の歌などさまざまあります。授業が行われる季節に合わせて歌ってみてはいかがでしょうか。
2限目は、歌で最後に盛り上がっておしまいです。
まとめ
2限目の5の繰り上がり、繰り下がり問題についてはそろばんをお財布であるとイメージさせ、お釣りの計算であることを認識させることが重要です。
5の繰り上がりの問題であれば、お財布に入れられない分、ちょっと多めに5円をもらって、多くもらった分のお釣りを返すという作業です。
5の繰り下がりの問題であれば、お財布に入っていない分、ちょっと多めに5円払って、多く払った分のお釣りをもらうという作業です。
上記のように授業を進めていけば、5の繰り上がり、繰り下がりの計算をスムーズに行うことができます。
残った時間で、みんなで歌を歌いましょう。練習なしでも生徒は意外と上手に歌ってくれます。ボランティア授業の時期は、2月~3月です。時期的には、お雛様の歌がベストです。最後に非常に盛り上がります。お試しください。最後までお読みいただきありがとうございます。