そろばんの教え方を徹底解説!小学校ボランティア授業編(3限目)

教育

そろばんの教え方について小学校での授業の進め方を1限、2限と詳しく説明してまいりました。

ここまで授業を工夫して展開していることで3限目に入ると、そろばんに慣れてきて、そろばんはたのしいと思ってもらえる生徒が増えています。実際、学校の先生より『生徒はそろばんの授業を楽しみにしています』という声や、生徒からは『そろばん習いたい』という声が聞かれるようになります。3限目では、その思いをさらに大きく爆発させる楽しい授業を行います。

そろばんの教え方で3限目は復習をしないことが重要!

3限目については、2限目の復習はしないほうが良いでしょう。

その理由は、3限目では10の繰り上がり(足し算)、繰り下がり(引き算)をやります。2限目で学習した5の繰り上がり(足し算)、繰り下がり(引き算)を復習することにより、生徒の頭が混乱してしまうからです。

もちろんそろばん教室では、5の繰り上がり・繰り下がりと、10の繰り上がり・繰り下がりが混同した問題をやります。しかしその過程は、どちらも別々に十分指導した後にやる内容です。

よって、2限目の授業内容については触れずに、3限目では10の繰り上がり・繰り下がり問題に集中させることが重要です。

そろばんの教え方を工夫して小学校ではお釣りのイメージで最短学習!

計算に入る前に準備が必要です。

黒板の左側を使って”9+1→” ”9+2→” ”9+3→” ”9+4→” ”9+5→”(1列目)”9+6→” ”9+7→” ”9+8→” ”9+9→”(2列目)と書いてください。2列に書くのは、最終的に2列目を全部消すことになるからです。

この問題をお金のイラストを使って黒板の中央で生徒と一緒に計算します。→となっているのは、この問題の答えを書くのではなく、お釣りの金額を書くためです。

9+1の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。

①生徒に、『願いましては9円なり』といい、お財布の中(そろばん)に9円を用意させます。同時に黒板に、1円玉のイラスト4枚をチョークで書いた定位点の下に並べ、5円玉のイラスト1枚を定位点の上に貼ります。もちろん授業を盛り上げるために『イエー』といいながら貼り付けてください。

②『たすこと1円』といい、生徒に『お財布の中に入れることできますか?』と尋ねます。すると生徒からは『できない』と返事が返ってきます。『では、ちょっと多めに10円もらいましょう』といって、黒板の10の位の位置(1円玉のイラストが並んでいる左となり)に『イエー』といいながらイラストの10円を貼ります。

③黒板のイラストのお金そろばんと生徒のお財布の中(そろばん)には19円が残っています。生徒に『これでいいかな?』と尋ねると『ダメー』と返してくれます。ではどうしたらいいかなと尋ねます。生徒からはこちらが期待する答えが返ってくるはずです。『そうですね。多くもらった分お釣りを返しましょう。ではお釣りはいくら?』と尋ね、『アー』といいながら、黒板の1円のイラストを4枚と5円のイラストをはがし、生徒のお財布(そろばん)からは、おつり9円を返す(引く)という流れです。

④このお釣りの9という数字を、最初に黒板の左側に準備した矢印の先に”9+1→9”と書きます。以下残り8つの問題についても同じ流れです。

⑤黒板には ”9+1→9” となっております。”9+”の部分を消し左矢印を加えて1⇔9とします。残りの8問についても同じようにして黒板には”1⇔9” 2⇔8” 3⇔7 4⇔6 5⇔5(1列目)6⇔4  7⇔3 8⇔2 9⇔1(2列目)が残っている形になります。

生徒に黒板へ注目させます。『この組み合わせをみて気づくことないかな?』と尋ねます。

『あわせて10になる』『同じ組み合わせがある』という気づきが返ってきたら、こちらの求めている答えです。

同じ組み合わせを消すことにより、2列目の組み合わせがすべて消え1列目の5つの組み合わせが残ります。

『この5つの組み合わせをちょっとだけ頭の中に入れておくとお釣りの計算がはやくできます』と伝え、合わせて10になる組み合わせをプリントにて、1分のタイムトライアルで練習させます。

ここでの注意点としては、間違って合わせて5になる数(2限目の内容)を書く生徒がいますので、その点のみ生徒に間違わないように注意してください。

『1分間計って終わった人は大きな声で手を挙げてください』と伝え始めます。5になる数より組み合わせが多いですが、ほとんどの生徒が1分以内で終わります。しかしながら、そうでない生徒もいます。『1分で終わらなくてもいいよ』始める前に伝えておいてください。

そろばんの教え方を工夫して小学校の10の繰り上がり・繰り下がりが簡単に!

お釣りをイメージする練習が終われば、10の繰上がり問題(足し算)の実践です。

実践の前に、2桁の問題をお金のイラストを使って、生徒と一緒にやります。

45+81の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。

黒板の筆算式の問題を使って10の位は10の位、1の位は1の位で別々計算することと、10の位(数字の先頭)から計算することを伝えます。

① 生徒に、『願いましては45円なり』といい、お財布の中(そろばん)に45円を用意させます。同時に黒板に、10円のイラスト4枚と5円のイラスト1枚を『イエー』と言いながら貼ります。

②まずは10の位から、『80円お財布に入れることできますか?』と尋ねます。 『入れることができないのでちょっと多めに100円をもらいましょう。』 (ここで、100の位だから100円もらうことの説明が必要です)100円のイラストを貼りつけます。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは145円です。 『これでいいかな?』と尋ねると生徒は、期待通りの答えを返してくれます。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、 黒板の10円のイラストを2枚はがし 、お財布の中(そろばん)からお釣り20円払って(引いて)お財布に125円残っている状態です。

③10の位が終わったので、次は1の位です。『1円お財布に入れることできまか?』と尋ね、 『今回はお財布に入れることできますね』と言って、1円のイラスト1枚を貼り、お財布(そろばん)に1円入れ(足し)ます。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは 126円という流れです。

黒板で一緒に問題をやった後は、生徒に実践してもらいます。

1桁の足し算問題2問、2桁の足し算問題4問、それができた生徒のために、3桁のチャレンジ問題2問、さらには5桁~6桁くらいのスーパーチャレンジ問題2問を用意しておきましょう。問題はすべて10の繰り上がり問題です。

10の繰り上がり問題(足し算)が終わると、次は10の繰り下がり問題(引き算)の練習です。

163ー75の問題を例に挙げます。黒板の中央には筆算式で問題を書いておきましょう。

足し算の時と同じく、黒板の筆算式の問題を使って100の位は100の位、10の位は10の位、1の位は1の位で別々計算することと、100の位(数字の先頭)から計算することを伝えます。

① 生徒に、『願いましては163円なり』といい、お財布の中(そろばん)に163円を用意させます。同時に、100円のイラスト1枚と50円のイラスト1枚、10円イラスト1枚、1円のイラスト3枚を黒板に貼ります。

②まずは100の位から、引くものがないので10の位に進みます。『70円引くことできますか?』と尋ねます。 『引くことができないので多めに100円を払い(引き)ましょう。』 100円のイラストをはがします。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは63円です。 『これでいいかな?』と尋ねると生徒からは期待通りの返答があります。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、黒板に10円のイラスト3枚を貼り、お釣り30円をお財布(そろばん)に入れて(足して)93円残っている状態です。

③10の位が終わったので、次は1の位です。『5円引くことできますか?』と尋ねます。 『引くことができないので多めに10円を払い(引き)ましょう。』 10円のイラスト1枚をはがします。『いまお財布に何円入ってますか?』と尋ねます。答えは83円です。 『これでいいかな?』と尋ねると生徒からは期待通りの返答があります。『ではお釣りはいくら?』と尋ね、黒板に5円のイラスト1枚を貼り、お釣り5円をお財布(そろばん)に入れて(足して)最終的な答えは88円という流れです。

黒板で一緒に問題をやった後は、生徒に実践してもらいます。

2桁~1桁の引き算問題2問、3桁~2桁の引き算問題4問、それができた生徒のために、3桁のチャレンジ問題2問、さらには、5桁~6桁くらいのスーパーチャレンジ問題を2問用意しておきましょう。すべて10の繰り下がり問題です。

そろばんの教え方は、フラッシュ暗算を活用することで最大の盛り上がり!

ここまでで、そろばんを使った問題練習は終了です。

生徒にそろばんを片付けさせます。ここからは、頭の中のそろばんを使った暗算をやります。

暗算は、頭の中にそろばんの珠をイメージして足し算・引き算をするものです。まだ、イメージできない生徒が殆どですので、紙そろばんというものを用意して生徒に配ります。

紙そろばんとは、紙にそろばんを印刷したもので、そこに指を置くだけで暗算ができる、初歩の暗算補助教材です。

繰り上がりのない1桁2口~3口の簡単な問題で暗算を練習します。

生徒に暗算の自信をつけさせた後で、3限目の山場、フラッシュ暗算の登場です。

フラッシュ暗算とは、 頭の中にそろばんの珠をイメージさせ、パソコンの画面にフラッシュ式に出てくる数字を足したり、引いたりして答えをだします。

はじめてフラッシュ暗算を体験する生徒が殆どです。繰り上がりのない1桁2口の簡単な問題を5問くらいやります。みんなテレビ画面に集中し、楽しいそうに計算してます。時間があれば3口、4口とレベルを上げていきます。

最後はあまり時間が残ってませんので、3口問題くらいで終了になりますが、生徒からはもっとやりたいとリクエストの声が上がります。

最後は”そろばん=楽しい”というイメージを残して授業を終わらせることができると思います。

フラッシュ暗算をやるに当たっては事前に各クラスのテレビにパソコンをつなげることができるか、担任の先生に確認しておくことをお忘れなく。

まとめ

3限目は10の繰り上がり、繰り下がり問題に入ります。ここでは、生徒の頭が混乱することを避けるため、5の繰り上がり、繰り下がりの復習はしません。

ここでもそろばんをお財布であるとイメージさせ、お釣りの計算であることを認識させることが重要です。

10の繰り上がりの問題であれば、お財布に入れられない分、多めに10円又は100円をもらって、多くもらった分のお釣りを返すという作業です。

10の繰り下がりの問題であれば、お財布に入っていない分、多めに100円又は10円払って、多く払った分のお釣りをもらうという作業です。

上記のように授業を進んていけば、10の繰上がり、繰り下がりの計算をスムーズに進めることができます。

最後のクライマックス、フラッシュ暗算では最高に盛り上がります。フラッシュ暗算を体験する生徒が殆どです。繰り上がりのない簡単な問題をやってもらうことにより、そろばんは楽しいというイメージを持たせることができます。

そろばんの先生方、地域の小学校のそろばん授業に積極的に参加し、そろばんを盛り上げていきましょう。また、小学校の先生方には、これまでご説明してきた内容が、授業で少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます。

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