こんにちは、そろばん先生のぱちぽちです。
現在、小学校では3年生と4年生でそろばんの授業が必須教科となっております。そんな中、教科書ではおじいさんの漫画付きであたかも簡単にそろばんができるかのように紹介されておりますが、あの内容では、小学生は理解しずらいのではないでしょうか?実際、学校の先生もあの教科書では非常に教えづらいとのことでした。
今回は、そろばんの先生や、小学校の先生がそろばんの授業を実践する場合に、どのように授業を進めればよいか、わたくしの経験を踏まえて細かくご紹介していきます。
そろばんの教え方で大事なことは楽しい授業!!
そろばんの教え方で注意すべきは、小学校でそろばんにはじめて触れる生徒さんが約8割くらいいることです。(地域によりますが)そこで、まずそろばんとはどういうものかということから紹介します。
『今は、お店に行けばレジでピッピッっと、そして電卓やスマホで簡単に計算できます。でも昔は、そんな便利なものはありませんでした。そこでこのそろばんというもの使ってました。だから、そろばんは計算するのに便利な道具と覚えてください』と説明し、そろばんを使うとかんたんに計算できますと伝えます。
次に、そろばんの部位の説明です。私の場合は、1珠、5珠、定位点の3つのみを説明します。 黒板につるされている大きなそろばんを使って、 『下のほうにある珠を1だま、上にある珠を5だま、黒い点を定位点といい、ここが1の位になります』と説明し、そろばんで計算するのに最低限必要な部位のみ伝えます。
そろばんの授業を楽しくやる方法で、私が実践していることは、そろばんが生徒のお財布であると認識させることです。
足し算は、みなさんのお財布におこずかいが増えるニコニコ問題だから『イエーィ!』と言いながらそろばんの珠をはじかせ、逆に引き算はおこずかいが減る残念な問題だから『アー』と言わせながらはじかせます。
そのイメージを定着させるために、黒板を使って、そろばんの珠の場所に合わせてお金のイラストを並べます。例えば、定位点の下には、1円玉のイラストを4枚(裏にマグネット付き)貼り付け、定位点の上には5円玉のイラストを一枚貼り付けます。となりの10の位にも、ここには何円が入りますか?といった具合に生徒とコミュニケーションをとりながらお金のイラストを貼り付けていきます。わたしの場合は、このキャッチボールがすごく盛り上がるので、万の位までやります。(面白いお金のイラストを用意するといいです)そして、みなさんのお財布(そろばん)には、このようにお金の入れられる場所が決まってます。と伝えます。
ここまで説明が終われば、次はそろばんの珠に触れる練習です。
そろばんの教え方で大事なことは、生徒とキャッチボールをして楽しく授業をすることです。珠の読み方では『下の1珠が1つ上に上がって1円、では2つ上がると何円?』『上の5珠が下がると5円では、そこに下の1珠が1つ上がると何円?』といった具合に、進めていくことがおすすめです。
6円~9円の説明の際は、両手を使って5円と1円を指で説明するとわかりやすいと思います。同じやり方で、100の位まで説明します。説明後は、大きなそろばんを使って、適当に珠を動かし『これ何円?』とキャッチボール形式で珠の読み方の練習をします。
そろばんの教え方で大事なことはやさしい計算からはじめる!
そろばんで計算させる際にまず初めに、1珠が下に、5珠が上にある状態にしなければなりません。そろばんをゆっくり立てて、ゆっくりそろばんを机に置かせます。大きなそろばんを使って、いまの珠の状況を作ります。下に下がっている5珠を右手の人差し指の爪のほうをつかって、ザザザザ-ッと左端から右端まで上にあげる動作を生徒にみせます。その後生徒には2回くらい練習させます。
上手にできる生徒もいれば、そうでもない生徒もいますので出来なければどの指を使ってもいいから、この形を作ればいいよと伝えます。先生の『願いましては』または、『お財布の中をきれいに(ゼロ)にしてください』という合図で、この状態にすることも伝えます。
計算の準備が整いました。はじめは読み上げ算という方法で、大きなそろばんを使いながら、生徒と一緒に実践していきます。もちろんその際には、足し算の時は、 『イエーィ!』と、引き算の時は『アー』 言わせます。
基本の指の使い方は一応ここで説明しますが、きちんとできている生徒もいれば、そうでない生徒もいますので、使う指についてはうるさく言いません。そろばんの珠を計算通りの形にすることが重要であると考えております。(もちろん自分の教室では、運珠はきちんと指導します)
初めてそろばんに触れる生徒へのそろばんの教え方では、繰り上がりのないやさしい計算からはじめます。
いきなり繰り上がりの計算を教えてしまいますと頭がパニックになってしまいます。繰上りの計算は2限目、3限目で教えます。
まずはやさしい計算でそろばんに慣れてもらいそろばんは楽しいと思ってもらうことが重要です。
読み上げ算である程度なれてきたら、繰り上がりのない1桁の足し算・引き算問題をプリントで生徒にやってもらいます。プリントは、足し算・引き算問題各5問ずつくらい用意してください。
ここで注意すべきは、1桁問題なのでそろばんを使わずに計算できる生徒もいるということです。そろばんを使って計算する練習なので、必ずそろばんを使って計算してねと伝えてください。
1桁の実践の後は、繰り上がりのない2桁の練習です。生徒には、1桁だけの計算だとお財布におこずかいがたまらないので、桁の幅を広げていきましょう!といった具合に、そろばん=お財布のイメージを定着させます。
はじめに黒板を使ってそろばんと筆算の計算の違いについて説明が必要です。筆算は後ろから前に計算していきますが、そろばんでは、前から(10の位から)計算できます。といった具合にです。
ここでは、お金のイラストを使って黒板で例題を計算してあげるとわかりやすいです。
黒板での説明が終わったら、2桁の繰り上がりのない足し算・引き算の問題を生徒にやってもらいます。
プリントで足し算・引き算問題を各4問とチャレンジ問題として繰り上がりのない3桁の問題も用意しておきましょう。
そろばんを習っている生徒には物足りないと思いますので繰り上がりのない5桁くらいのスーパーチャレンジ問題を用意しておくと更にいいでしょう。
ここまでで1限の授業は終了です。小学校の授業は45分授業なのであっという間に時間が来てしまいます。生徒にプリントをやらせる際に時間調整をしてください。
そろばんの教え方は最後の5分で生徒の心をわしずかみ!
そろばんの教え方で重要なことは、楽しい授業です。時間調整をうまくやって頂き、残った5分で生徒の心をわしづかみしましょう。そうすることにより、生徒へ次の授業(2限目)への期待感を抱かせることができます。
そろばんの歴史についてお話します。
ずーっと昔の人は、そろばんが無かったのであるもので数を数えてました。これを3択クイズ形式で生徒に投げかけます。用意するものは、正解の石、どんぐり、宝石(おもちゃ)です。
クイズ形式で生徒全員が参加できるので盛り上がります。
更に歴史は進んで、あるもので数を数えてました。また3択形式です。
用意するものは、正解の木の棒(算木)、チョコ棒、うまい棒です。さらに盛り上がります。算木は、オークションで購入しました。(今は占い用のアイテムとして利用されているようです。)ここで、算木の数の数え方に触れます。
算木が1本で1円、では2本で?キャッチボール形式で進め、6を数えるときに算木を1本横にして、縦に1本で6円と説明します。今のそろばんの考え方に少し近づいてきましたねと一言。
更に歴史は進んで、1000年くらい前に中国で誕生した今のそろばんの原型になる現物を用意して生徒にみせ、今のそろばんの違いを生徒に尋ねます。生徒からは、上の珠(5珠)が二つある!珠が丸い!どうやって使うの?などいろんな意見が飛び交います。現物がない場合は、写真でもいいと思います。
その後、昭和10年ころまで日本で使われていた5玉そろばん(1珠が5つあるそろばん)の現物を見せます。今のそろばんとの違いを生徒に尋ねます。だんだんと今のそろばんに近づいていきましたね。と伝え授業を終了します。
まとめ
私がそろばんの教え方で重要視すことは、楽しく授業を行うことです。そのためには、まずはじめ簡単な問題からスタートし、そろばんは楽しいというイメージを持たせることが大事です。
楽しいと思っていただければ、生徒も夢中になり授業に集中してくれます。また、生徒とキャッチボールをしながら授業を展開し、小ネタを仕込むことにより、この先生は次何をして楽しませてくれるのかと、生徒が先生に興味をもってくれます。
2限目では、繰り上がりの計算についてのわかりやすい解説と新たな小ネタをご紹介いたします。最後までお読みいただきありがとうございます。